アウターゾーン
おすすめ度 ★★★★★
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奇妙なのに救いがある。ミザリーが案内する、ハッピーエンドの多い不思議な短編集。
どんな話?
案内人のミザリーが、不思議な別世界「アウターゾーン」へといざないます。不幸になるか、幸せをつかむかは、あなた次第。
謎の美女・ミザリーの刺激的な姿ばかり覚えている方も、少なくないのではないでしょうか。でも、それだけの作品ではありません。いまだに覚えているストーリーがいくつもあります。
案内人ミザリーの、不思議な世界へようこそ…。
この作品が他と違うところ
一番印象に残っているのが、第2話「幸運の首」です。
ギャンブルで、2倍までの倍率なら3回まで当たりを教えてくれる幸運の首。それを手にした青年は、ルーレットで勝負します。大きく賭けた3回目の勝負で、なんと首は外れの出目を教えます。けれど青年はそれを見越して、逆の出目に賭けて大勝利。実は青年の父親は、幸運の首に騙されて破滅の道をたどっており、青年は首に復讐する機会をうかがっていたのです。賭けに勝った青年は、愛する彼女と大金を手にしてハッピーエンド。
このストーリーが、『アウターゾーン』が他と違う決定的なところかもしれません。似た話でいえば『笑うせぇるすまん』や、最近では『涅槃姫みどろ』などは、案内人に関わった人の多くが不幸になります。ところがこの作品では、ミザリーに出会った人々は、逆に助かった人のほうが多いのです。それは作者のポリシーによるところが大きいのでしょう。
不幸や絶望なんて、現実にいくらでも転がっている。なのに、どうして物語の中でまで暗い気分にならなければならないのか。光原先生はそう語っているそうです。その気持ちが、奇妙な世界なのに救いのある、不思議な魅力をつくり出したのでしょう。
奇妙なのに、ちゃんと救いがあるのがいい。
表紙で見る『アウターゾーン』
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お気に入りのエピソード
『アウターゾーン』のハッピーエンドを、皆さんにも。いくつかお気に入りのストーリーを紹介します。
第17話「顔」
交通事故で視力を失った資産家の明。彼のそばで、使用人の愛恵は懸命に看病し、二人は魅かれ合います。けれど明にはフィアンセがおり、愛恵は自分の顔が醜いことに悩んでいました。そこにミザリーが現れ、明の目を治していきます。
視力の戻った明ですが、彼の目には、他人の心が顔に写って見えるようになっていました。美しく見えた愛恵と明は、ハッピーエンドを迎えます。もっとも、この話は、外に出た明を心配してしまうおまけつきでした。
第34話ほか「マジックドール」
事件の巻き添えで殺されてしまった女の子・坂内マキは、実はまだ死ぬ予定ではありませんでした。人形の体に入って、代わりの体が見つかるまでを、火牙刑事の相棒として過ごします。
さすがに、徳を積んだら生き返る、というわけにはいきませんでしたね。胸ポケットに人形を入れて歩く火牙刑事がなんとも言えず、長く続いたシリーズものです。二人の息の合ったコンビで、このネタだけでも一作つくれそうな感じです。
1年過ぎると人形から戻れなくなると聞いて、ようやく他の体に移る決意をするマキ。ただし、人形の間の記憶は失ってしまいます。それでも再び出会う二人。気のいい死神の計らいでした。
第14話「わしはサンタじゃ」
少年が出会ったくたびれたおじいさんは、こともあろうにサンタを名乗ります。おじいさんが言うには、サンタはプレゼントをもらった子どもたちの喜びや希望、幸福感が栄養なのだそうです。ところが最近は皆が裕福で、喜ぶどころか不審がられる始末。弱って倒れてしまったおじいさんですが、少年に送ったプレゼント「捨てられたロボット」がヒントになります。
大人たちにも、なくしてしまった宝物をプレゼントして、その喜びのエネルギーで元気になるおじいさん。再会を約束して、おじいさん、いえサンタクロースは去っていきます。
ただし、幸せになる人ばかりではありません。悪用した人には、不幸な展開も待っています。
第27話「見えない男」
ミザリーから、飲めば姿が消える薬を買った男。一口飲めば24時間、全部飲めば一生、姿が消えるらしい。一口飲んで味をしめた男は、ある意味必然のように、全部飲んでしまいます(気持ちは分かります)。
ところが、姿を消した矢先に車に轢かれた男は、助けを求めても誰にも気づかれず、朽ちていきます。調子に乗りすぎるとダメですね。
第32話「タイムストッパー」
ミザリーから時計をひったくった少年が、いじっているうちに、その時計が時間を止められることに気がつきます。調子に乗って使い続けた少年でしたが、周囲の時間を止めている間、自分の時間は何千倍も早く流れていました。
悪いことをすると、ちゃんと返ってくるのも、この作品の特徴です。
他にも、数々の不思議なストーリーが待っている『アウターゾーン』。ぜひ一読してみてください。